≪警告≫
かなりBAD ENDな展開です。
精神的になんらかの影響を及ぼす可能性があることを覚悟してから読んでください。
ずっと
ずっと
思い焦がれていたけれど
自分が何をやっているのか?
どうして「それ」を行動に移してしまったのか?
…わからない。
ただ、私の下で横たわっているのは、誇り高き紅薔薇であることには間違い
ないのだ。
触れてみると、音が聞こえたような気がした。それほどまでに、そこは既に
濡れそぼっていたのだ。
令は、いつものようにそこに次々と刺激を加えていく。柔らかく。硬く。そ
して繊細に、乱雑に。あらゆる動きで自身を高めていった。
高揚と指の動きが連動し、滑らかに、そして速くなっていく。それは、更な
る快楽を得ようと尽きることがないようにみえる。
しかし、令の想像を支配しているのは、自身の快楽を直線的に掴むというも
のではなかった。
令は、自分の親友である小笠原祥子になりきって、自慰行為に身を投じてい
るのだった。
つまり、自分の姿を祥子に置き換えているのだ。
「う、うう」
その部分が祥子の身悶える表情に到達した瞬間。色彩が、形が、ふいに崩れ
ていくように感じた。そして低く唸るような声を発し、果てていた。
汗が滑り落ちていくのがわかる。どろりとした指の感触も顕著だ。
真夏の暑さとはいえ、それでも異常なほどの汗が全身から吹き出ている。じ
っとりとした汗の玉が肌を転がると、その感触さえも身体に刺激を加えている
ように感じるのだ。
自慰行為は自分の感覚を鋭くするものなのかもしれないと令は考えたが、し
かし、その一方で自分の精神が深く溺れ、麻痺していくのも同時に感じてい
た。
鋭さと鈍さ。
対極な感覚。
麻痺していく感覚の出所は、たぶん自分が行っている行為への罪悪感からな
のだろう。そして、それとは逆に鋭くなっていく感覚の出所は、理性を無視し
て動き続け、ただひたすら快楽を貪ろうとする肉体の本能的な部分からきてい
るのだろう。
令は単純に導き出した答えに背徳的なものを意識し、そこにすら喜びを見出
し、だからこそ、精神と肉体は別物なのだと、実感していた。
精神は肉体の玩具だと聞いたことがあったが、たぶん、その通りなのだ。
絶対に振り払うことのでいない器。
限界としてそこに必ずあるもの。
それは揺ぎ無いことだ。
にもかかわらず、いつしか令は、普段の自分とは別方向の自分を想像し、作
り上げるようになっていた。
普段の令とは、部活動で剣道に打ち込み、由乃の守護者として認識されてい
る強い自分である。
しかし、深層で構築された姿はそれとは異なる姿であった。髪の長く儚げな
線の細い姿…。
つまり「女の子」としての自分である。
それはまさに、自分の心の中だけで作用する別人格であるといってもよいレ
ヴェルであった。
当然、令は現実に存在する自己が嫌いなわけではない。不満があるわけでも
ない。気に入っているほどである。
ただ、単純な変身願望や、抱える理想への溝が、少なからず自己矛盾として
存在していることは、紛れもない事実だったのだ。
だから、令の前に現れた小笠原祥子は、いつのまにか人知れず育てていたも
う一人の自分と現実のギャップを、疲労を蓄積させていたアルミのように簡単
に千切ってしまうものだった。
最初、彼女の存在は完璧に見えた。
光り輝く長い髪。誰もが認めるであろう美しさ。
まるで、潜在意識の中にいた自分がそのまま具現化されたのではないだろう
か? と令は思った。
しかし、実際の彼女は、多分に我侭であり、短気なお姫様であった。
そんな彼女であったから、令はあらゆる場面で祥子の姿を自分に置き換え
て、更に理想の姿へと昇華させようと想像を続けるようになった。
そして、それは止まることを知らず、いつしか祥子の姿を借りて、乱れる
姿、喘ぐ姿を想像し、淫らな想像に耽り自分を慰めるようになった。同一化す
ることによって、自分の欲望を満足させるように。
いつしか現実と虚構の世界との境が曖昧になっていったのだった。
※※※
その日の午後、薔薇の館には祥子と令の二人しかいなかった。
他のメンバーは所用を抱えているとのことで既に下校してしまっている。
令は、仕事をするふりをしながらも、目線はずっと祥子を追いかけていた。
髪をかきあげる仕草。カップを口に運ぶ動き。何気ない一挙手一投足が、令
を掴んで離さなかった。
少しづつ飲みこまれて行く茶色い液体。濡れた唇。
それらが、今日だけは何故か艶めかしく感じる。
「 」
「 ……?」
「 ……!」
三度目の呼びかけ。そこで、はっとする。
「え、何? 何か言った?」
「何かじゃないわ。どうしたの何度も呼んだのに」
「う、うん。別に」
令は気のない返事を返し、ようやく目線を外した。
「最近変よ? 締める部分は締めないと、祐巳達に示しがつかないわ。気を
つけてちょうだい」
既に、令は聞こえてくる言葉すらも認識できなくなっていた。
目の前で動く指。制服の衣擦れの音。流れていく髪。鏡のような瞳。
色彩が。形が、ふいに崩れていくように感じた。
違う。
それは、違う。
その仕草は。その髪は。その身体は。
私の――。
私の物。
そして令はゆっくりと立ち上がった。
「令?」不思議な顔を自分に向ける祥子を、まるで人事のように眺めなが
ら、制服に手を掛けた。そして、静かにタイをほどいていく。
「な、何?」
祥子は状況が把握できていないようだったが。令が強く腕を掴んできたとこ
ろでようやく悟ったようだった。
「令、ふざけないで!!」
祥子は力の限り暴れているが、それは徒労だった。
―ああそうか、祥子ってこんなに力が弱かったんだ…。だって…、だって女
の子だもんね。
心の中で小さく呟きながらも令の動きは止まらなかった。
体を軽く捻っただけで、祥子は床に転がされてしまった。長い髪がまるで生
きている蛇のように板の上を這っていく。
「どうしたっていうの? 令!」
令はその問いかけには一切の反応を返さなかった。
今、言葉を出せば体が行動を止めてしまう。
だから、表情を変えることなく左手一本で祥子の両腕を押さえつけると、令
はその上に跨った。そして残った右手で、ゆっくりと時間をかけてスカートを
捲り、白い布切れを露わにしていく。まるで羞恥を煽るようにして。
本当は上着を先に剥ぎ取り、その胸を白日に引き摺り出したかった。それが
何度も思い描いていたシーンだったのだ。
しかし、ワンピースの制服を脱がす為に祥子の上体を一度でも起こすこと
は、逃走されるという危険を含んでた。それに祥子が暴れてしまえば、傷つけ
てしまうかもしれない、だからそれをしなかった。
令は、スカートにやっていた手を止め、そっと制服の上から胸に手をやる。
十分な膨らみがざらついた生地の上からでも感じられた。
祥子の胸が豊満であることは十分に承知していた。体型の差が出難いワンピ
ースにおいても、そのシルエットは十分にそれを称えていたからだ。そのまま
制服の上から器用にブラを下にずらし、頂を確認する。
すると「くっ」と声を漏らし、祥子は身体を跳ね上げて初めて反応を見せ
た。その反応に感化されたのか、みるみると硬度を増していく突起を令は執拗
に攻め続ける。
制服の上からその突起を口に含み、歯で咥え舌で転がし、最後に「はぁっ」
と熱い息を吹きかけた。
祥子は、それを口を真一文字に結び必死に耐えていた。しかし、その姿も、
頂だけ唾液に塗れた膨らみも、令を刺激する材料にしかならなかった。
令は手をスカートに戻すと今度は躊躇なく一気に腰まで捲り上げた。意外に
飾り気の無い白いショーツが目に入る。
制服…。しわくちゃになっちゃうかな。一種、精神のみの冷静さを伺える言
葉を思い浮かべながら、返す手でそのままショーツの上から、秘所を確認し
た。そこは、殆ど濡れてはいなかった。僅かながらの湿り気は汗によるものだ
ろう。
「令、お願い…。これ以上は…」
抵抗は既に止み、声さえも殺された祥子は、かつて信頼を置いていた親友に
向かって哀願した。
その絶望を含んだ表情は、令への供物となり嗜虐心を新たな段階へと押し上
げていく。
令は、ショーツの中へと手を潜らせると、林を掻き分け肉芽へ指をかけた。
そして、普段自分でするように弄ぶ。
最初は触れるか触れないかという感触で。そして次第にゆっくりと、表情を
確認しながら円を描くように硬くなった核を撫でまわし、反応の良かった動き
を執拗に繰り返す。指の動きは、分泌された液体によって幾分か滑らかになっ
てきていた。
暫らくそれを続け、祥子の体から力が抜けきったことを確認すると、両腕を
押さえつけていた手で、胸全体の愛撫を始めた。
しかし、事がここに至っても、祥子の咽から期待していたような喘ぎ声は漏
れ出してはいない。
令は妙な対抗心に駆られ、人差し指と薬指の間でまったく無抵抗に晒されて
いる秘部に、中指で更なる刺激を無遠慮に加えていく。
いつしか、部屋の中には水音だけが、無機質に響いていた。
水滴が、太股をつたって、床の上にいくつもの染みを作っていく。
もはや、祥子の目線は中空を泳ぎ、上気した顔はとろんと溶けてしまってい
た。ただ、最後の抵抗と言うべきなのか「声」は聞かせてはいない。
しかし、自分の下着は確認しなくとも、ベットりと滴るもので濡れているの
がわかる。火照った願望を、全て押さえ込んではいないのだ。
とうとう令は最後の侵攻を開始した。指は、最も深い場所へと入っていく。
「う、あっ!!」
ようやく聴く事ができた声は、痛みに耐えかねた苦痛を示すものだった。し
かしながら、それさえも令にとっては喜びしか与えなかった。
若干の抵抗を指に感じたが、それでも構わず奥へと進める。令は細かい糸を
何本も切っていくような感触を指に味わう。
「あ、ああ…」
息をすることすら忘れてしまっているように苦しげな、さらに一段落とした
声が令の耳を撫でていく。
令の侵入は最後の入り口まで来てようやく止まった。そして指先で、最深の
壁を確認すると、令はゆっくりと動かし始める。
表情は痛みに歪み、呼吸をすることすらままならないことを伝えてきてい
る。それにも構わず、令は指を出し入れし続けた。秘唇の周りにまとわりつい
ていた液体はその動きに合わせて泡だっていく。そして見る間に赤色に変わっ
ていった。
それを見てようやく令は一旦指を引き抜くと、自分の指をべったり染め上げ
た血を確認した。
真っ赤に染まった指は、ようやく精神を肉体へ引き戻したが、令は自分の下
で中空に視線を投げたままの祥子を、呆然と見つめるだけだった。
※※※
秋に続く。
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